【こんな症例も治りますシリーズ 466】 ワンちゃんの 副腎腫脹 も適切な診断と治療で治します

★ 犬の副腎の位置のイラストです。
★ 肌色の部分が『副腎』です。
★ 青い棒状の部分が大静脈です。
★ ここの大静脈の部分に腫瘍が入り込んでしまう事があります。

 

参照サイト:

https://bit.ly/3xDTVid

 

犬 ミックス犬 8歳、オス 去勢手術済みです。

 

【 飲水量が増えている 】とのことで来院されたワンちゃんです。

 

 

◆◆ 多飲多尿の症状は、いろいろな病気が考えられます。

 

■ 正確には12種類の病名があるのですが、代表的なモノとして、糖尿病、腎障害、クッシング症候群、心因性、尿崩症、子宮疾患などが挙がります。

 

 

■■ そこで、正しい診断を行うには、全身検査が必要です。

 

 

■ 全身検査をしてみると、血液化学検査でALPという、肝胆道系やストレスなどの多種の影響で上昇する酵素値が著しく上がり、尿比重も低いです。

 

 

■ 腹部超音波検査で、肝臓の腫大、右副腎の腫大が見られました。

 

 

 

■ 副腎の正常な大きさは約5MMですが、この子の副腎は2CMもありました。

 

■ 検査から、『クッシング症候群』が疑われます。

 

 

■ クッシング症候群とは、体内の副腎皮質ホルモンが増えすぎる病気です。

 

 

■ 副腎皮質ホルモンは、ストレスホルモンとも呼ばれ、ストレスによっても分泌されますが、炭水化物、脂肪およびタンパク質の代謝をコントロールする体にとって必要不可欠なホルモンです。

 

 

■ ACTH刺激試験という、副腎皮質ホルモンの分泌を促すテストを行い、副腎の働きを計測すると、刺激後の値はかなりの高値でした。

 

 

 

 

■■ 機能性の副腎腫瘍が疑われます。

 

 

■ 副腎腫瘍は、良性の腺腫、悪性の腺癌、クロム親和性細胞腫といったものが考えられます。

 

 

■ 悪性の場合、転移する可能性もあります。 基本的には外科的な切除を考えるべきです。

 

 

※ しかし、副腎の横には大きな血管があり、たびたび副腎腫瘍が血管内に浸潤することがあります。その場合は切除できません。

 

※ 血管浸潤や、他の臓器への転移を判定するには、CT検査より有用な検査はありません。

 

 

■ CT検査を行ってみると、幸運なことに血管への浸潤は有りませんでした。 また、明らかな転移像も見当たりません。

 

■ 飼い主様の同意も得て、外科手術による摘出を行いました。

 

 

■ 病理検査の結果は、良性の腺腫でした!

 

 

■ 切除により良好な予後が期待できます。

 

■ 今後も慎重に診療して行きたいと思います。

 

 

 

獣医師 増田正樹

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